広場の水飲み場から流れた水でできた薄い水たまりに、羽が黒色で白い模様のある蝶々がいました
羽をゆっくりと動かしながら水をのんでいる姿がとても優雅だったので、写真に撮ろうと思い
離れたところから機会をうかがっていました
そして、同様の女性がもう1人いることに気付き
今だと思った瞬間
蝶々が踏まれてしまいました
突然ビックリ、かたまります
思わず写真を撮ろうとしていた女性を見ました
お互い駆けより、小さい声で
「見てしまいましたね」
「なんてタイミング」
「信じられない」
「とても綺麗な蝶々でしたよね」
「はい、品がありました」
「でも、おばあさんはわざとじゃないです」
「急いでましたね」
左方向から現れたおばあさんは両手を胸の高さにあげたまま、手を早く洗いたい様子でした
蝶々を踏んでしまったことに気がつかれていません
手を洗って、もと来た方へ戻られました
女性はカバンからティッシュを取りだしながら
「また踏まれたら粉々になっちゃう」と言って蝶々のもとへ
蝶々は水をのんでいただけ
私たちは蝶々の写真を撮りたかっただけ
おばあさんは手を洗いたかっただけ
やるせない